2011年1月31日月曜日

ピアニスト・S.Richter (リヒテル)、映画デビュー !?




The Great Glinka”1946 Soviet Union (映画『グリンカ』)より名場面。

F.Liszt (リスト)役として Sviatoslav Richter (S.リヒテル) が出演したのは31歳のとき。

作品は Liszt - Tscherkessenmarsch aus Russlan und Ludmilla, S.406 です。

リヒテルファンならご存知の方も多いこの映画ですが、私が注目したいのは3つあります。


・・・・・


「私の最初の本格的「作品」は、当然ながらオペラでした」


引用元:B.Monsaingeon(モンサンジョン)著 中地義和・鈴木圭介訳『リヒテル』(筑摩書房)


リヒテルという人は、15歳で地域のクラブに出入りし歌手やヴァイオリニスト、あるいはバレエやサーカスの伴奏を、それもステージに上がってからのぶっつけ本番の初見で、それこそお金を稼ぎながらキャリアを積みあげた人。ついには、オペラハウスのコレペティートア(練習ピアニスト)になったくらい。要はレッスン室じゃなくて演劇を含めた総合芸術の舞台で育ったようなものなんです。

まあ観てください!

髪を振り乱しながらの肘上げスタイル!華麗なる指運び!表情豊かな手首!演奏後グリンカ先生に駆け寄る颯爽たる身のこなし!リスト様専売特許の白手袋はサマになっているし、腕を組むポーズ!いくつかの台詞も!


私は良い役者振りと思いますがいかがでしょう?
リヒテルそのままじゃないの?という見解もあるかもしれませんが。


今だったら新聞見出しには、

「最強のリスト弾き現る!」
「本当のリスト弾きここに!」
「天才リヒテル氏熱演!」

…でしょうか?

(続く)

2011年1月30日日曜日

ピアニスト・小林愛実(Aimi.Kobayashi)、女優デビュー

世界的指揮者の小澤征爾氏(75)プロデュースで4月に米国公演を行う中学3年生の天才ピアニスト小林愛実(こばやし・あいみ、15)さんが女優デビューする。映画「ネムリユスリカ」(11月公開)で…(以下詳細はここ


引用元:http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2011/01/29/kiji/K20110129000141030.html
「ネムリユスリカ」予告編:http://www.youtube.com/watch?v=HGcesJkaOB0
参考URL:http://www.emimusic.jp/artist/aimi/


・・・


何事をも芸道のバネにしてしまう能力・才覚は、恐るべしと思います。
大事なのは良し悪しではなく歴史のひとコマであることと、これからどうなってゆくのか?です。

寒中お見舞い申し上げます

ある御方から寒中見舞いが届いた

ご丁寧な挨拶文の余白にこうあった

「とりあえず・・・の原稿730枚(!)をわたしました」



物凄く楽しみ

それにしても膨大な枚数

そして何たる早業!

それも凄い!!

音楽好きはお楽しみに…

2011年1月29日土曜日

Mahler 「私はこの世に忘れられ」 没後100年記念 3/3


Goldberghaus in Coburg, Wirkstätte des Dichters Friedrich Rückert
引用元:Wikipedia

私はこの世に忘れられ…

詩が琴線に触れると寄り添うように音楽を創る

誇大複雑ではなく内省単純にときに若書き風


Gustav Mahler 1860-1911
 (Emil Orlik 1902)

伝統継承者は交響曲作家たることが必然な時代

でも 詩に託したときの音楽の自然体といったら!

私的なマーラー 私にはしっくりきます


Friedrich Rueckert 1788-1866
(Carl Barth)

Ich bin der Welt abhanden gekommen


Ich bin der Welt abhanden gekommen,
Mit der ich sonst viele Zeit verdorben,
Sie hat so lange nichts von mir vernommen,
Sie mag wohl glauben, ich sei gestorben!

Es ist mir auch gar nichts daran gelegen,
Ob sie mich für gestorben hält,
Ich kann auch gar nichts sagen dagegen,
Denn wirklich bin ich gestorben der Welt.

Ich bin gestorben dem Weltgetümmel,
Und ruh' in einem stillen Gebiet!
Ich leb' allein in meinem Himmel,
In meinem Lieben, in meinem Lied!

Friedrich Rückert (1788-1866)



I am lost to the world
with which I used to waste so much time,
It has heard nothing from me for so long
that it may very well believe that I am dead!

It is of no consequence to me
Whether it thinks me dead;
I cannot deny it,
for I really am dead to the world.

I am dead to the world's tumult,
And I rest in a quiet realm!
I live alone in my heaven,
In my love and in my song!

Translation by Emily Ezust



私はこの世に忘れられた。
私は世と共に多くの時を浪費したが、
今や世は私の消息を聞かなくなって久しい。
私は死んでしまったのだと、世は思うだろう。
世が私を死んだ人と思っても、
私にはどうでも良いことだ。
またそれに反対することもできない。
私はこの世から本当に死んでしまったから。
世の騒音から私は死んでしまい、
しずかな所にやすらいでいる。
私はひとり私の天の中に、そしてまた
私の愛と私の歌の中に生きている。

訳詩:渡辺護さん
引用元:POCG-9566のブックレット
※素敵な訳詩が他にもあります。長木誠司さん、西野茂雄さん…多数。



そして、美しい動画。
まさに総合芸術としての”muse”そのものも。


マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌曲から「私はこの世に忘れられ」


・・

GM没後100年記念
※大意同じで当初より文章変更しました。

2011年1月28日金曜日

Ken Russell の映画 ”Mahler” 没後100年記念 2/3


MAHLER (1974) - Theatrical trailer


Ken RussellK.ラッセル)1927- 氏が映画で表現する Mahler (1974) は中々的を得ていると私は思います。

観えてくるのは「人間なんて所詮こんなものなんだ」という一種「あるがまま」を受け入れることのできぬ必死の抵抗。その「抵抗」を、技巧の極致、才能のあらん限りを尽くして音楽芸術に託したのがマーラーだったか…。私見です。

そういえばこの監督さんは、今年生誕200年を迎えるF.Liszt (リスト)も映画に仕立て上げていましたね。

2011年1月27日木曜日

「Mahler なんて私はまっぴらごめん。」 没後100年記念 1/3

Klaus Umbach 著
『異端のマエストロ チェリビダッケ』(音楽之友社)


「…彼は頭が混乱していました―足と手のあるサナダムシ。(略)―人非人。交響曲第五番の第1楽章を理解したというならば、嘘つきだ―ほら吹き。マーラーなんて私はまっぴらごめん。」

引用元:Klaus Umbach (K.ウムバッハ)著 斉藤純一郎、カールステン・井口俊子訳『異端のマエストロ チェリビダッケ』(音楽之友社)より


・・・・・

私は特段なSergiu Celibidache (S.チェリビダッケ)1912-1996 信奉者ではありません。
ただ、氏の格別な能力と、氏が創造的再現した世界に度肝を抜かれたことがあります。
それは「素晴らしい」という賛辞を超越した、まさに有無を言わさない特別な音楽体験。
超越した「特別な音楽体験」は、実はマーラーの音楽そのものでもあります。
チェリ師のこの言葉は、毒をもって毒を制す…というか解毒させたというべきか。
私にとっては当意即妙。膝を打つ部分はあります。が、
人間臭い精神世界を表現したマーラーの音楽を聴くことは、妙に楽しいことでもあります。

2011年1月26日水曜日

創立20周年記念パーティー

某月某日某所

KING INTERNATIONALさんの創立20周年記念パーティーへ。

優雅且つ始終大人なムードで進行。

音楽評論家・指揮者の宇野巧芳さんの式辞がまず印象に残った。

社長の天沼さんとは40年以上のおつき合いだそうで、宇野さん40代天沼さん20代のときから続く間柄だそうだ。お二人の間に存在する音楽に対する熱い情熱を淡々と語っていらっしゃった。40年経って「淡々」というのが良いと感じた。若いときは熱かったと思う。衝突もしただろうか?

折りを見て社長の天沼さんのもとへご挨拶。「顧客を創造すること」…といったP.F.Drucker(ドラッカー)ネタで少し盛り上がった。それは意外な共通ネタであり「いつかフリートークを」ということに。

BACH COLLEGIUM JAPAN鈴木雅明さんはユーモアに富んだ式辞。

BCJの活動を始める前、日本企業各社に助成のお願いに回ったが全て断られ(何でも「そんな無謀なことはお止めなさい」というご意見もあったそうだ)、結局BISが支援を申し出てくれたというお話し。今の輝かしいご活動や成果から遡って見れば深く考えさせられる内容だった。でも「このようなハレの日に似つかわしくない『バッハのモテット(≒お葬式に用いた)を、BCJメンバーと全く響かないパーティ会場で演奏して…笑』と、どっと会場を沸かす。その後、雅明さん秀美さんと少しお話しを。

グランドスラムの平林直哉さん、BISのRobert von Bahr社長、尊敬するORFEOのChristiane Delank女史、Harmonia Mundi FranceのJB氏、NaiveのDidier Martin氏に加えて、台湾WIND RECORDSや中国CHINA RECORDSからも重役が来日。T社のM氏、K氏、S社のC氏、S社のH氏、K社のT氏、K氏、この日のウグイス譲M女史、その妹M女史、Y氏、K氏、それに上記バール氏から「智恵袋」と絶賛されていたM氏、N社のY氏等多士済々。イニシャルばかり…汗

帰り際、素敵な記念品を。
形状と音から察するに…これは10年後の楽しみにとっておこう。

20年なんて会社にとっては「まだまだ子供の域だよ」…という式辞をされた御方もいらしゃった。

10年後は色んなことが変わっていると思う。
だけれど音楽は存在している。

その後急いでサントリーホールへ。

Valery Gergiev(ゲルギエフ)指揮 London Symphony Orchestra (ロンドン交響楽団)によるMahler (マーラー)Symphony №9 を。

私はこの音楽を聴くたびに「ああ西洋音楽のまぎれもない到達点である」(等と、西洋文化に本当の根っこを持たない私が軽々に書くのもどうかと思うが)と同時に、「むむ、超誇大妄想で超大袈裟だな~」とも思うのです。なぜか?

大聖堂の如き巨大な建造物の中へ入る。眼前に高貴で素晴らしい世界が広がる。が、その世界の実体に触れようとした途端全てハリボテ(空虚)であった…というような感覚を持つ。なぜかはわからない。いやいや何を書いているかわからない?!…こんなことをつい書かせてしまう要素を本質に孕んでいると。私見です。

そんな私にとって「第九」で感動するかどうかの分水嶺は、演奏家達の「汗」という現実。どれだけ汗をかいて演奏に取り組んだか?という異常に人間臭い行為が感動の世界へ導く。その意味で、掌(てのひら)をプルプルッとさせながら音楽を歩ませ凹ませ波打たせて、しかも大汗かきの指揮と三途の川幅もないくらいにちょっぴり向こう岸に構えるハイスペックオーケストラLSOの組合せは、名演といえる部類。

高度に集中して堪能した聴衆が熱い拍手と静かな空気で演奏後の余韻と余白を創りました。

先の鈴木雅明氏のお姿も会場にあり。K社のM氏ともばったり。たまたまお目にかかった批評家の林田氏からは「尺八+琵琶+Pianoの音源送れ」と。何でもウィーン人音楽学者に聴いて頂けるとのこと。有難いことです。感謝。

2011年1月25日火曜日

ピアノ技術者、荒木さん

ショパンコンクール2010 入賞者ガラ・コンサート

長い一日でした。
昨年でショパンは終わりと思いきや、そのショパンコンクールでの、入賞者のコンサートで、3時間というショパンづくしの内容でした。
(略)
さて、5人が同じピアノを弾くのですから、ピアノに対して注文はほとんどありません。
というかできないものです。
なので、終わった後の舞台袖で、感想をなんと言っていたか、ちょっとだけお伝えします。

以下詳細は荒木さんのBlog

・・・・

いつも良いお仕事をされてらっしゃいますね。
鉛入れ調整とか…マニアックなことを随分教えて頂きました。
かなり前ですけどその節は有難うございました。
Tallone(タローネ)のピアノは元気でしょうか?
また工房にお邪魔して教えて頂こうと思います。

2011年1月24日月曜日

「今、オーケストラに何を求めるか?」 2/2

(続き)

以下は、登壇者の発言の中から私が関心を持った「キーワード」です。ここでは50音順に並べています。赤色文字は「こんな言葉を用いてテーマを語ってくれると良いな」と、私が希望観測的に勝手に描いた「キーワード」となります。

★の数は発言回数(累計)の多さに比例します。「-」は発言なしです。厳密にカウントした訳ではありませんので誤差があると思いますが、大よそでも、発言者の思考がどのような傾向にあるか掴めれば良いと考え書き出しています。


アイディア-
足を運ぶ
荒川静香
一極集中
音楽的芸術的投資
可処分時間-
可処分所得-
近代化
経済効率(効果)★★★
工業化
顧客-
顧客価値(「価値多様性」にて)
顧客の創造-
サーヴィス-
幸せ(「幸福追求」等含)★★
指揮者
資本主義
市民感覚
市民社会★★★
弱肉強食
浄財
助成★★★
進化
人口
水中動物
税金
生産性
贅沢
西洋化★★
宣伝
戦略
地域★★
Twitter(「書き込み」にて)
強みを生かす
東京
生の音
入場料
人間として大事
ネットワーク
非営利の組織-
非効率
フランス革命
プログラム
文化★★★
暴動
マーケット(「市場」等含)-
マイノリティ★★
マジョリティ
無駄★★
メディア
USTREAM(「ネット中継」にて)
陸上動物
歴史★★★



ブレストのための「フリートーク」としては成功していました。テーマが大きいので、今回はこれで良いのでしょう。

そこを踏まえて、列挙した「キーワード」を眺めておりますと、組織活動に必要な「戦略」が次に必要ではないか?と感じました。「戦略」を理解した上でのフリートークなら、短期長期的に具体的なことが見えてくるのではないかと思います。

もちろん「戦略」といっても、特に読響さんは大新聞とテレビが母体であり、またオケ組織の性格上、政官財+民含め驚くほど多様で難儀な調整が必要なはず。それらを包括した「戦略」を、どこの誰がどのような責任を持って構築するのか?民間企業と違って見えにくい構造に今は置かれているなと感じました。

更に読響さん以外のプロ団体も視野に入れて、日本のオーケストラとしての強みを生かす「戦略」を構築するとなると容易なことではないです。ただ、ここを考える組織やチームがこれから必要になるでしょう。

余談ですが、もし同じようなイヴェントをベルリン・フィルという「カイシャ」がやれば、何名かの団員も登壇するだろうな、と思いました。私も、もし自分の「カイシャ」が議論のテーマになり、しかも自社がイヴェントを主催するならば、発言せずともその場に居合わせなきゃ…という感覚は芽生えるかな…というより「参加しろ」と命令が出る可能性大。

団員さんの中には、私服に着替え客席にいた方もおられたと思いますが、さっきまで汗をかいて演奏していた団員さんが登壇すれば、聴衆との結びつきがより多面的で強固になる気がします。「この人が振るこのオケを聴きたい」に加えて「こんな人が演奏するこのオケを聴きたい」という要素も加わるからです。私見ですが。

会場にはテレビカメラがありましたのでこの模様は放送されるかもしれません。

関連ブログ:http://blog.goo.ne.jp/ajskrim07/e/53311d355dddc46a71544b7252227700

2011年1月23日日曜日

「今、オーケストラに何を求めるか?」 1/2

読売日本交響楽団は、1月22日(土)18:00、サントリーホールで開演する定期演奏会が500回を迎えるのを記念して、終演後(20:00開始予定)、舞台上にて下記の通りアフタートークを開催します。
テーマ:「今、オーケストラに何を求めるか?」
 出演:西村 朗(作曲家)
    片山杜秀(音楽評論家)
    江川紹子(ジャーナリスト)
    下野竜也(読響 正指揮者)
   司会:横田弘幸(読響 理事長)

当日ご来場のお客様はどなたもご参加いただけます。この機会に、オーケストラの可能性をお客様と一緒に考える契機になれば嬉しく思います。

引用元:http://yomikyo.or.jp/cat8/index.php#news-topics-999


…ということで行ってきました。

定期演奏会は500回記念に相応しく満席にて大変盛り上がっていました。
その後件のアフタートーク。聴衆は500名くらいでしょうか?
私はその数は多いと感じました。


以下、登壇者の発言から私が関心を持った箇所の要旨・印象です。


片山さんは相変わらず面白い御方。味があるというか…聴衆に対して警戒心を解くような軽妙洒脱なゼスチャーで登壇しておきながら、爆弾発言(本日はありませんでしたが)で煙に巻くといういつもの片山さん流話術にまず座布団1枚進呈!(深刻にスタートさせなかったという点で)。

西村さんはオーケストラを「法隆寺の五重塔のようなもの」と。つまり、奈良時代の大工みたいに立派な工具を用いずに人力だけで建築するのは、実は現代ではほとんど不可能であって100人のオーケストラから音が出るというのは、まさにそのような文化遺産と同じではないか?と作曲家・西村さんの個人的意見が上品に炸裂。

江川さんは最後の締めくくりで、年末の「ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏会」のプロジェクトについて言及。日テレさんを考慮してか”Ustream”を「ネット中継」”Twitter”を「書き込み」と言い換えてその可能性を評価。それと日本のオーケストラがアジアの中で果たす役目にも。

下野さんは「オーケストラが必要と思ってもらえる人に必要と思ってもらえる存在になりたい」と話した後、ご自身の「戦略」とした「布石を打つ」に基づき敢えて珍曲もプログラムに入れるが、その結果空席が目立ち、サントリーホールの赤いシートばかりを眺める羽目になっても、それが「次につなげる起爆剤になる」と熱く語りコンサート同様の拍手を受けていました。

…(続く)

Shirley Brill クラリネット・リサイタル



才色兼備なクラリネット奏者、Shirley Brill (S.ブリル)さんのリサイタルはとても充実していた。


プログラムは、

Francis Poulenc (F.プーランク)1890-1963:クラリネット・ソナタ
吉松隆(Takashi Yoshimatsu)1953-:鳥の形をした4つの小品 作品18
Robert Schumann (R.シューマン)1810-1856:3つの幻想小品集 作品73

***

Claude Debussy(C.ドビュッシー)1862-1918:クラリネットとピアノのための第1狂詩曲
Johannes Brahms(J.ブラームス)1833-1897:クラリネットとピアノのためのソナタ第1番へ短調作品120-1

それとピアニストも!
彼を忘れてはならない!
Jonathan Aner(J.アーナー)さん!


私は所用で後半のみを聴いたが、ただ有難うと言いたくなるようなリサイタルだった。テンポが、技巧が、音色が、楽器が、楽譜が、フレージングが、アーティキュレーションが…と、つい私が使いたくなる言葉の類は、このリサイタルでは無用ではないかとさえ感じた。


晩年のブラームスが創った「ソナタ」という小さな宇宙に鋭角的に入っていく清々しさ!まるで綺麗に流れるせせらぎに素足に浸すような楽しさ!身体的な快感!
「オカルト時代」のドビュッシーが作曲した第1狂詩曲は、さながら「ドビュッシー式音楽魔術学校・第1次試験」の体裁。怪しい秘薬満載の音楽を楽々一発合格。毒気なんぞ吹き飛ぶ痛快さ!


アンコールは2作品。
Germaine Tailleferre(G.タイユフェル)1892-1983:アラベスク
Gabriel Pierné(G.ピエルネ)1863-1937:セレナーデ


2010.1.20(木)
代々木上原のMUSICASA

・・・・

尚、Brillさんは、イスラエル生まれ。クラリネットをイツァーク・カトザップに学び、ドイツのリューベック音楽院、ボストンのニューイングランド音楽院へ留学、ザビーネ・マイヤーやリチャード・ストルツマンに師事。2006年マルクノイキルヒェン国際コンクール第1位、2007年ジュネーヴ国際コンクール1位なし第2位各受賞。ズービン・メータ指揮イスラエル・フィルとの共演を皮切りに、マンハイム室内管弦楽団、ジュネーヴ室内管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団等著名オーケストラと共演を重ね、2009年ダニエル・バレンボイム指揮するウェスト・イースタン・ディヴァン管弦楽団のメンバーに抜擢されて注目を集めた。すでに、ニューヨークのカーネギーホールやボンのベートーヴェンハウス等一流会場で多くのコンサートに出演しており、シュレスヴィッヒ=ホルシュタイン音楽祭、リュブリャーナ音楽祭、ダボス音楽祭、モンペリエのフランス放送音楽祭等国際的なフェスティバルへも招聘されている。新世代のもっとも優れたクラリネット奏者として評価が高く、近年は、マスタークラス等教育分野での活躍も顕著である。2008年パンクラシックスからデビューCDを発表して絶賛を博した。ドイツ在住…という経歴。

公開クリニック&ミニコンサートもあるそうです。ご興味のある方はどうぞ。

2011年1月24日(月)18:30開場19:00開始
石森管楽器さんの地下イベントホール
詳細はこちらから http://www.ishimori-co.com/

ニューイングランド音楽院ということは菊池君と同じだな…

2011年1月22日土曜日

USTREAM活用方法一考

何でもやってみるのは大事です。




同時にご意見ご感想を伺うのも大事です。
マジメな「一言」ご感想募集中です!

音楽っ子さん、こっそり教えてください。

2011年1月21日金曜日

プロって何?

「周りを食わせていける人をプロっていうんだよ」。

(会議室で吠えたプロデューサー某氏)

私は某氏の経験則に基づいた「プロ論」のひとつだと感じました。

2011年1月20日木曜日

戦場カメラマン、池上宗徳さん




池上宗徳(Munenori Ikegami)さんから毎年丁重なお年賀メールを頂戴する。


記事タイトルでは「戦場カメラマン、池上宗徳さん」としたけれど、本来は映像作家だろうし、報道カメラマンだろうし、つまり、現場で現実を撮り続ける人である。


実は彼とは一度しか会ったことがない。でも、出身が同じこともあってか何となくウマの合いそうな人と勝手に思っている。そんな池上さんの作品から私が特に心惹かれる2分程度の映像を、お時間の許す限りご覧になってください。


ピアノはマイ・フェヴァリット・ピアニスト、門光子(Mitsuko Kado)さん。
Federico Mompou(モンポウ)の”Cançons i danses 6”(歌と踊り6番)が切なく響く。



「織り込まれた風景」は、いつかきちんと書かなきゃいけないと思っています。

2011年1月19日水曜日

ベルリン・フィル×人気声優による豪華コラボ


絵本付クラシックドラマCD『チャイコフスキー:くるみ割り人形』
ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー(合唱:リベラ)
声の出演:石田彰、釘宮理恵
イラスト:鈴木康士
(TOCE-56367-8/2CD+絵本)

クラシック界のベスト・ヒッツとしておなじみの『くるみ割り人形』だが、E.T.A.ホフマンによる原作がどういう物語だったかはあまり知られていない。この作品の魅力をわかりやすく伝えようと、ベルリン・フィルと日本が誇るサブカルチャーが手を組んだ。原案と作画を手がけたのは気鋭のゲーム・クリエイター/イラストレーターの鈴木康士。絵本を開き、CDを再生するとベルリン・フィルによる全曲演奏が始まり、合間に知られざるストーリーがドラマ仕立てで紡がれる。夢見がちな少女が、みずからが書いた小説の中にトリップし、くるみ割り人形ドロッセルマイヤーのために冒険することで成長していくというストーリーだ。
 
ドラマを演じるのは人気声優、釘宮理恵石田彰。釘宮は主人公クララ役など4役、石田はナレーションも含む、じつに9役を演じ分けた。(続き詳細はこちら


引用元:http://www.cdjournal.com/main/cdjpush/berliner-philharmoniker/2000000597


・・・・

上記は興味深い試みじゃないか?ということでご案内です。
更に色んな発展系があっても良いのでは?とも思います。


2次元の世界は私は全くの門外漢だけれど、例えば「コミケ」を語る知人の冷静で熱い眼差しに一種尋常ならざる「何か」を感じ取り、統計でも調べてみると途方もない世界が、国内外にも存在していることがわかります。これぞ、現代に生きる日本文化の強みの一つではないかな?とさえも感じます。今更感がございましょうが…。


私は今の「2次元市場」のルーツを遥かに辿れば葛飾北斎(Hokusai katsushika )に行き着くのでは?と思っています。北斎を「芸術」として受容したのは海外だったのですが。


今度北斎マニアのM先生と雑談してみようかな。
でもM先生と私は音楽上では対立する感じなんです…笑

打ち合わせでわかったこと。

某月某日某所…。

数年後アニヴァーサリーイヤーを迎える中堅アーティストAさんが所属するB事務所さんのC氏と約70分のお打ち合わせをした後、演奏家DさんについてE事務所さんのF氏やG氏とお打ち合わせ。こちらはたっぷり100分近く。どちらも検討課題が多々出てきましてあっという間に終了。何でもそうですが、一人でやれることには限りがありますからね。


面白いなと思ったのは違う事務所さんなのに共通項があったこと。


それぞれに看板となる「中堅」アーティストさんが在籍しているのですが、どちらのアーティストさんも賛否両論を受けつつ苦悩しながらも大きく育ったそうです。しかも、賛否の構成要素まで同じでした。「中堅」とは書きましたが、それはJ-POPの世界と比べての市場規模的ポジションでして、お名前をご存知の方も多いかと思います。


そう「100%絶賛」という状況は実は折れやすいんです。


歴史でも似たようなことが繰り返されているのではないでしょうか?

2011年1月18日火曜日

小林愛実、ショパン国際ピアノコンクール in ASIAで金賞最年少受賞

小林愛実(Aimi Kobayashi)
(C)HFM

2010年10月から予選が始まった第12回ショパン国際ピアノコンクールin ASIAのアジア大会最終日が1月13日にユリホール(新百合ヶ丘)にて開催され、最難関のコンチェルトC部門において、音大生、大学院生等9名が出場した決勝で、最年少出場者の小林愛実が金賞およびコンチェルト賞を受賞した(続き詳細はこちら)。

引用元:http://www.barks.jp/news/?id=1000067015&ref=rss


・・・・・


小林愛実(Aimi Kobayashi)さんに限らず、人を「天才」と軽々に書いてしまうことをここでは控えます。なぜなら、私にはそのような判別ができる才覚を持たないからです。ただ書けることは、愛美さんは15歳にして既に余りある「実績」を持つということ。

そして、ピティナ(PTNA、社団法人全日本ピアノ指導者協会”The Piano Teachers' National Association of Japan, Incorporated by the Japanese Government”)という12,000人のピアノ指導者が所属する「層の厚い」「間口の広い」「水準の高い」団体が輩出した才能だということ。

世界的な名人や天才たちと、歳も一切関係なく比較され続けるという道(宿命)を、今現在も、これからも歩み続けるということ。


大きく豊かな音楽家に芸術家になってください!
静かに応援しています。

2011年1月17日月曜日

樫本大進さんと”シネ響” 2/2




(続き)

21時過開演で23時過ぎには終っていた。
夕食を済ませてカフェで寛いでからゆっくり劇場へ行けるのは良いけれど、女性一人だとちょっと心細い時間帯で場所かもしれない…。

実測観客数23人。ついでに目視で分布を採取。
観客のピークは30代女性。ポップコーンやLサイズのソフトドリンク2本を座席のカップホルダーに忍ばせて悠々鑑賞する手慣れた30代男性は静かな猛者に見えた。

面白かったのはトランペット奏者氏の楽器に付いていたチューニグメータ。
バンド系のギタリスト氏がクリップで留めている小さなあれ。
実像に対して常に数十倍でクローズアップされるスクリーンは圧巻。
何の弦を使っているとか指使いがどうか?とか、音楽の手段のこともよくわかる。
口紅の色やネクタイの歪みといった音楽以外のことも丸わかり。笑

ここでヴィオラジョーク。

お葬式後に本番を迎えた管楽器奏者K氏。本番で使う白ネクタイをうっかり忘れてきたが、少しも慌てず葬儀用黒ネクタイを蝶々に結びステージへ。遠目には黒のボウタイにしか見えなかったというが、この巨大スクリーンではバレてしまうアップ具合。

でも音楽を楽しむ聴衆の表情や、会場になったオックスフォード大学のシェルドニアン劇場天井にあるルーベンスの美しい絵はスクリーン鑑賞者の心を和ます。

樫本さんのコンサートマスター振りを観て安永さんが座っていた頃をちょっと思い出した。やはり人にはそれぞれにお役目があります。

スピーカーから流れる音像は決して実演サイズではなく、この日を通してオーケストラ演奏に興味を持った人がホンモノを聴く機会を得るとしたら、場合によってはホンモノにがっかりするかもしれない。甲子園球場外野席から内野手の動きを見る「リアルな小ささ」もホンモノですから。

劇場に立派に豪華に流れる5.1chの音。
しかし、私には「音場創生」と「音場再生」の言葉が耳裏に響いてきます。
今は仕方ないのでしょうが…。
それと隣の空間でやっている映画の低い効果音が、ときどき壁を通して響いていた気が…

上映前のトレーラー(予告編)ではL.Maazel(マゼール)さんがNew York Philharmonic(ニューヨークフィル)と共に平壌で演奏してきた「新世界」が流れた。この映像はいち早くBDという形式で市場に出回ったが扱うのが難しかったことを思い出す。

課題はあるでしょう。
だからこそ成功して欲しい試みです。

シネ響の公式URL:http://www.cinekyo.jp/

2011年1月16日日曜日

樫本大進さんと”シネ響” 1/2

某月某日…


J社の某女史からメールが届いた。来日中の劇場引越し公演を少しでも成功させようと頑張っているのだな…そんな熱意を感じさせるメールだった。どこも厳しい。どこも必死なのであるが、その中に樫本さんのことが少し書かれていた。


コンマス正式就任についてググッてみると、こんな文言のあるサイトに出くわした。


「絶賛公開中“シネ響”出演ヴァイオリニスト樫本大進。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 コンサートマスターに正式就任!」

引用元:http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=11424


シネコンだからシネ響。
「シネキョー」と呼ぶのでしょうか?
東京交響楽団=東響=トーキョー的な感じかな?


プログラムは何かというと、
D.Barenboim (バレンボイム)さん指揮で、

W.R.Wagner (ワーグナー);ニュルンベルクのマイスタージンガー3幕への前奏曲
S.E.W.Elger (エルガー);チェロ協奏曲
A.Weilerstein (ワイラースタイン)さんのチェロ独奏 
J.Brahms(ブラームス);交響曲第1


現場はどうなっているのか興味があったので早速新宿のWALD9へ。

入場料は大人一人3,000円の”シネ響”特別価格。
二人で行ったから6,000円。

シネコン感覚としては率直に高価という印象を私は持った。もちろん、ホンモノたちが目の前で音楽を届けるのであれば、ファーストブランド投売りのやってはいけない破壊的価格だけれど、シネコンというパッケージにある「感情価格」からは安くはない。私個人の感覚ですが。

(続く)

2011年1月15日土曜日

小寺信良著『USTREAMがメディアを変える』(ちくま新書)


小野寺信良著
『USTREAMがメディアを変える』(ちくま新書)

これくらいは読んでおいた方が良いのでは?という本を時おり紹介していきます。尚、書評でも感想でもなく、私にとって気になった箇所を抜き出したメモ的な内容です。


・・・・・

…はやぶさの帰還中継が、仮にユーストリームとニコニコ生放送を合わせた視聴者数が八万人だったとして、テレビの世帯視聴率に単純換算すると、約0.13%である。プライムタイムの番組としては、即放送打ち切り、プロデューサー更迭レベルだ。(略)…テレビ放送というシステムで情報投下できる規模があまりにも巨大であるがために、尖った番組が放送しづらいという事情もまた、わかるのではないかと思う。

・・・・


著者の小野寺信良さんは、テレビ映像の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャル等を手がけてきたテレビの人。「はやぶさ」の一件を経験値を通した見方で捉えている。可能性と既得権。今の時代が一番しんどいかもしれない。

その他、「カシオペア」の向谷実氏×中西圭三氏が昨年6月に取り組んだギョーカイでは割合知られているプロジェクトも歴史の一こまとして紹介されている。

2011年1月14日金曜日

「世界の小澤」、とかね(笑)、なんだとか…

小澤征爾著 武満徹著
『音楽』(新潮文庫)


武満 みんなが一致して超一流だと認めるような音楽は、僕には必要でないの、ほんとに。音楽はみんなにとって超一流である必要はないわけです。
小澤 全くその通り。
武満 ところがどうしても日本人は、「世界の小澤」、とかね(笑)、なんだとかすぐ言う。僕違うと思うんだよ。そんな万人にとって世界一流の音楽とか二流の音楽とかなんてね、ないよ。(中略)発想の根本においてどうしようもない時代錯誤だと思うね。はっきり言って。


引用元:小澤征爾著 武満徹著『音楽』(新潮文庫)から「音楽の聴き方、習い方」より


・・・・・

私はこの本からどれだけ学んだことか。

多くのことが詰まっている。
それは容易に語り尽くせない。

お正月にNHKで放送されていたけれど、小澤さんが『ノヴェンバー』を振るシモタツ氏をアドヴァイスする風景を観て、まだまだ小澤さんの強みが生きる部分があると感じた。

それと「Kちゃんがこの服を持ってきてくれたんだよ…」という箇所。
やれることはちゃんとやらないと…反省です。連絡を取ってみよう。

2011年1月13日木曜日

『AERA』掲載のM.Polliniへのインタヴュー


Maurizio Pollini 1942-
引用元:Wikipedia

AERA』(2010.12.27号)の表紙はMaurizio Pollini (ポリーニ)だった。インタヴューも載っていた。詳細はデジタル版か雑誌をご覧頂くとして、印象に残った箇所を一部引用すると、


・・・・・

インタビュー冒頭、「聞きたいことをなんでも聞いてほしい」と気さくに話してくれた巨匠。そこで、かねて世界的なピアニストに聞いてみたいと思った質問をしてみた。
 
まちがって隣の鍵盤を叩くことはないのでしょうか?

「そういうこともある。どんなピアニストにもあることだ。でも大事なのは、曲を正確に演奏することより、曲を正しく解釈することだ」

・・・・・


インタヴュアーは編集部の田村栄治さん。

私はPollini の説明に何かを付け加えたり解説めいたことを書くのはやめておきます。でも、随分大胆な質問だな~と噴き出してしまった。巨匠の回答は誠実だと思う。

2011年1月12日水曜日

【日常風景】Bachと美容院

美容院にあったBach
Cello;Bruno Cocset(Alpha029)

髪の毛を切りに行った。
Bossa Nova 好きの美容院オーナーWさんはClassical Music もときどき聴く。
特にBach (バッハ)が好みらしい。

以前切ってもらったときはWさんお気に入りのGidon Kremer (クレーメル)が弾く無伴奏がBGMになったりした。急ぎの用件があって定刻より早めに開店してくれた日曜日の朝。

「若い子(スタッフ)がまだ来ていないので好きなのが聴けるんです」

白基調のシンプルでお洒落な空間に響きわたるヴァイオリンはなるほど心地良い。

いつものBossa Nova とは違って教会にいるような気分。ちょっぴり日曜礼拝的だ。

「この前こんなバッハのチェロ組曲を買ってきたんですよ」といって見せてくれた。

…おお!これはM社のK氏のところのモノではないか?

プラスティックの塊であるCDに美意識高い手作業を施しパッケージ自体をアートの領域にしてしまう欧州のレーベル。その感覚美を一切劣化させることなく博学な知識と丁寧な動きで市場に届けるK氏を私は密かに尊敬している。先日もお世話になったのにも関わらず、きちんと御礼もせず申し訳ありませんでした。

でも、こうやって予期せぬ場所と意外な人を介して出会えるのは嬉しい。

「…へえ良いセンスしていますね」と私。

聞くところによると、いつも通う池袋のH店で購入されたらしい。選ぶ対象が他にもあって、しかもこのCDは試聴もできなかったけどジャケットや雰囲気に惹かれて手にしたという。WさんはCD到来時代はジャケットの質感が好きでむしろLP派だったが、そのうち扱いが面倒になり気づけば時流に逆らえずCDに。50歳代には全く見えないアウトドアや旅行大好きのオーナーは「でも、そこ閉店するんですってね」「どこで買えば良いのだろう?」「ネットですかね」…と寂しげで戸惑い気味だった。

「そういえば秋葉原のIも撤退しますね」と私。


この日常風景からイノヴェーションすべきことは多くある。

かつてCDがLPを上書きしたような一つのアイテムがプラットフォーム化する時代ではなくなってきている。ただ、今後数年間マーケットの中心に明らかになろうとしている「媒体」「サーヴィス」がある。早く着手しなければならない。最終列車に乗り遅れなければ良いが…

2011年1月11日火曜日

【Blogger募集】新日本フィル記者会見

新日本フィルハーモニー交響楽団さんが、記者会見を見学して個人BlogやHP等で情報発信をする一般モニターを募集しているようです。

興味深い試みと思いましたのでご案内致します。



・・・・・

来たる1/28(金)16:30より、都内にて、新日本フィルハーモニー交響楽団の記者会見発表会を開催いたします。
今回の内容は、2011-2012シーズン・プログラムについて、そしていよいよ来月に迫ったフランス・ブリュッヘン・プロデュースBEETHOVEN PROJECTについての2点。会見当日は新日本フィルの音楽監督クリスティアン・アルミンク、そして指揮者フランス・ブリュッヘン、ソロ・コンサートマスター崔文洙等が出席するほか、"Music Partner of NJP"ダニエル・ハーディング、客演で登場するインゴ・メッツマッハー、ジャン=クリストフ・スピノジ、トーマス・ダウスゴーからのメッセージなどをご紹介する予定です。
また、記者発表会当日は、13:45頃よりBEETHOVEN PROJECTのプレス向け公開リハーサルも行います。
こうした機会はマスコミ・評論家などの音楽関係者だけに限られておりましたが、昨年に引き続き、ブログ、ホームページなど、個人で情報発信ソースをお持ちの皆様にもこの記者会見発表の場をご覧いただき、より多くの方へ情報を発信していただけたら幸いです。
平日でお忙しいことと思いますが、ご希望の方はぜひ下記よりエントリーください。
お申込み締切は1/15(土)必着とさせていただきます。その後、新日本フィル事務局より当選者の方へご連絡させていただきます。なお、お申込み多数の場合はお断りすることもございますので、あらかじめご了承ください。

【注意事項】
※モニターでの募集となりますので、質疑応答および懇親会にはご参加いただけません。
※会場の都合により、携帯電話およびインターネットが非常に繋がりにくい環境にあります。何卒ご了承ください。
※プレス向け公開リハーサルのみのご参加はできません。記者会見発表のみのご出席は可能です。(以下略)


引用元及びエントリー方法等詳細は次のリンク先へ

http://www.njp.or.jp/njp/information/index.html#info0107_01

・・・・・


ここで得られる変化は何か?予期せぬ成功は何か?等・・・私はそこに興味があります。

2011年1月10日月曜日

2010(平成22)年10大出来事



HFM的「2010(平成22)年10大出来事」。忘れぬうちに書いておきます。(敬称略・順不同)


1.松平敬『モノ=ポリ』文化庁芸術祭優秀賞(参考記事

2.指揮者コンクールで3位入賞サラリーマン指揮者・藤田淳平(参考記事

3.植村花菜『トイレの神様』。レコ大優秀作品賞・作詩賞!(参考記事

4.横山幸雄「ショパン・ピアノソロ全166曲コンサート」ギネス記録(参考記事

5.上妻宏光10周年記念ライヴ(参考記事

6.『もしドラ』累計200万部突破!(参考記事

7.店舗閉店閉鎖相次ぐ…(参考記事

8.「尺八+琵琶+Piano」による史上初演奏会(参考記事

9.Mikhail Pletnev (プレトニョフ)一時拘束(参考記事

10.「ベートーヴェンは凄い!」全世界にインターネット配信(参考記事

等…


1.次なる手段を肌感覚と理論で常に考えるS氏がプロデューサー。昨年の『レコ芸』に続き!2.良し悪しではなく時代の成熟を感じた記事。3.メジャーデビュー6年で社会現象的ヒット。このご時世だからこそ受容できる歌詞と思われ。4.朝9時から深夜24時55分まで一人で演奏!ギネス認定。5.「邦楽」の世界でオーチャードを満員にする稀有な人。感無量。6.私の蔵書からP.F.ドラッカーを借りた音楽家君そろそろ返却ください。笑 7.象徴的な店舗が相次いで閉店閉鎖。明らかに時代が変わろうとしている。上書きするものは何か?8.手前味噌だが興味深い現象が起きている。根幹は5.とリンクすると思う。9.・・・。10.どなたか公式な検証結果教えてください。


他にもいっぱいありますが。

2011年1月9日日曜日

「Liszt 弾き」

HFM的「リスト弾き」ピアニスト。一部の人は「リスト弾き専業」というより、このピアニストが弾くリストは面白かった、興味深かったというピアニストたちも含まれます。(敬称略、年代順)



Emil von Sauer (エミール・フォン・ザウアー)(1862-1942)

 Liszt;Transcendental Etude no.4 "Mazeppa"

「リスト最晩年の高弟子」



Ignaz Friedman (イグナーツ・フリードマン)(1882-1948)

Liszt;Réminiscences de Don Juan

「これぞ真の19世紀ヴィルトゥオーゾ!」



Claudio Arrau (クラウディオ・アラウ)(1903-1991)

Liszt;Gnomenreigen

「リストの孫弟子」



Eileen joyce (アイリーン・ジョイス)(1908-1991)

Liszt;La Leggierezza

「ホロヴィッツを彷彿とさせるような硬質でクリアな音質とスピード感、ほとんどペダルを使用しないで縦横無尽に弾きまくるその自由闊達さ…」

引用元:中村紘子著『ピアニストという蛮族がいる』(文春文庫)から



イングリッド・フジコ=ヘミング (Ingrid Fuzjko Von Georgii-Hemming)(1932-)
「ラ・カンパネラ弾き」

Georges Cziffra (ジョルジュ・シフラ)(1921-1994)
「元祖エンタテインメント・ピアニスト」

Leslie Howard (レスリー・ハワード)(1948-)
「リスト全作品録音(CD全57巻?)を達成」

Michel Dalberto (ミシェル・ダルベルト)(1955-)
「シューベルトがリストを弾けば…」

野原みどり (Midori Nohara)(1967-)
「素晴らしいリストを弾かれる人」

Boris Berezovsky (ボリス・ベレゾフスキー)(1969-)
「怖いくらいダイナミック」

小菅優(Yu kosuge)(1983-)
「日本を代表するリスト弾きの一人」

金子三勇士(Miyuji Kaneko)(1989-)
「現在売出し中!赤丸急上昇!」


こうやって書いてみますとあの人がいないこの人もいないですね。他にも素晴らしいピアニストはたくさんいらっしゃいますが、目の前で弾いているピアニストが気に入ればそのまま聴き続ければ良いと思います。有名だろうと無名だろうと上手だろうとそうでなかろうと。今も私の知らないピアニストたちが素晴らしい演奏をきっとどこかで繰り広げていることでしょう。

2011年1月8日土曜日

聴き初めは「ABMが奏でるFranz Liszt」

引用元:wikipedia

今年は Franz Liszt (リスト)の生誕200年。

何を聴こう?
何が良いかな?

某月某日某所・・・文筆家・ピアニスト・ドビュッシー研究家の青柳いづみこさんの出版記念パーティー3次会(このときの詳しい様子は別の機会に…)。

「ABMの録音で何が一番好きですか?」(いかにもという質問ですね)と尋ねた。

「リストのピアノ協奏曲。ジュネーヴで優勝したときの実況録音よ」と、お湯割芋焼酎片手に。

「それとドビュッシーの映像(DG)」。

というわけで、ABMが19歳で Geneva International Music Competition に優勝したときの録音を聴いてみた。これが私の元旦聴き初め。皆さんは?


ARKADIA HP624.1 
Suisse Romande Orchestra-Comductor:ERNEST ANSERMET

冒頭1秒聴いて、おやっ?1939年にしては随分音が良いな。ピアノソロ数小節を聴いてとても19歳とは思えない音楽で演奏だな。何だか「老けた」感じ…と、私は聴く度にいつも感じる。それもそうなんです。だって変なCDなんですよ。これ!


(*) in the only existing recording of this 1939 perfomance, about one minute from the beginning of  the concerto is missing. In remastering it, to complete the work, the first 36 measures of same Liszt concerto,
interpreted by A. Benedetti Michelangeli under the direction of Rafael Kubelik with the RAI Orchestra of Turin in 1961, have been inserted.


ほとんどの録音は冒頭が欠損したまま「オリジナルな形」で市場に出回る中、大胆な編集をするな~って妙なところも感心。私はその気持ちはわからないでもないですが。笑

「そこには、イタリア・オペラの歌手のように歌いまくるミケランジェリがいた。のっけから熱に浮かされたようなルバート(テンポを揺らす奏法)で、目にも止まらない速いパッセージのあと、ふっと手をとめて永遠につづくかと思うような休符を入れる…クラリネットとのかけあいのカンティレーナ(叙情的な旋律)などもう身も世にあらぬといった風情…」

「連打もトレモロも超高精度、プレスト前は鉄砲水のようで、ラストのオクターヴの連続など、オーケストラを置いてきぼりにしてものすごいスピードでおしまくる。聴衆も興奮の極みに達し、コンクールだということも忘れて…嵐のような喝采をあびせている」

引用元:青柳いづみこ著『ピアニストが見たピアニスト―名演奏家の秘密とは―』(白水社)から

その場にタイムスリップしたような感覚に陥る以上に、私など文章を読んだだけでとろけてしまう気もする。つまり、そのような音楽がそのような演奏でその場で奏でられていたということ。三位一体のすごい文章だと思う。

それにしてもなぜ冒頭部分がないのだろうか?
ご存知の方教えてください。

ABMって誰?という方もいらっしゃるでしょう。ミサイルではありません。
Arturo Benedetti Michelangeli (アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ)です。

このコンクールで当時審査委員長だった Alfred  Cortot (アルフレッド・コルトー)から「新しいリストが登場した」と賞賛されたことは有名なエピソード。ABMは難関で知られるこのコンクールのレヴェルを最初に決めた人。ピアニストの「役割」を変えてしまった人。そして「こんなに可哀相な人もいない」という人。だって優勝後2ヵ月で世界大戦勃発。従軍。人間関係…。

旧Blog Classical Music Cafe 

2011年1月7日金曜日

2011(平成23)年の抱負

卯年ということで

卯年の今年は、かつての私の師匠(上村先生)がされているアルティ・カルテットのレコーディング・プロジェクトが発足できればな、と思います。お力を貸してください!S先輩!S先生!Y先生!Mさん!Hさん!・・・

神楽坂にある郡愛子さんのカフェでのコンサート・プロデュースもさせて頂けるようです。面白い試みや企画を提案させてもらえればと考えております(郡司先生有難うございます!)。

川島女史が取り組むトレブル(ピッコロ)ヴァイオリンは、Dr.C.M.Hutchins女史のコンセプトがユニーク且つ普遍的要素を含むことに改めて気づきました。大きく膨らめばアメリカ⇔ロシアをまたぐ企画になりますので少しずつ準備をしていこうと思います。直感的私見では、やりようによっては弦楽器における究極的な演奏や表現が創造される気がするのです。Cremona在住のヴァイオリン製作者のマエストロである Matsu にも相談してみよう。彼は何というだろう?興味津々。

昨年集中して取り組んできた「尺八+琵琶+Piano」は大変興味深い現象が起きています。それらは芸術史の一こまとして傍観できる面白さもあるのですが、私も含めて真剣な当事者はそうもいえません。ただ一つ書いておきますと、ある特定領域の音楽環境は1950年代の「芸術音楽」を取り巻く環境と同じような質感にあるように私は感じます。懐深く愛情を注ぎ静かに見守りたいところ。

それからアウトリーチも。

以上、書いてみましたが、きっと他にもあれこれと出てくるでしょうから制限を加えるのではなくて、時代の流れを見据えながら、誠実に取り組み、皆さまにお役立てできればという所存です。

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2011年1月4日火曜日

2011(平成23)年ご挨拶

 
2011年(平成23年)皇居の空
 
謹賀新年

旧年中は多くの方々に公私にわたり大変お世話になりました。
心より御礼と感謝を申し上げます。
今年、特に大切にしたい言葉を感じるままに書いてみますと、まず、

「はじめに言葉ありき」

です。「ヨハネ福音書」冒頭からの引用ですが、「旧約聖書」の創造神話「はじめに(光りあれという)言葉ありき」が由来だという主張もあります。私は、ここでは読んで字の如く感覚的に捉えていきたいです。というのも、

「一番さきが怒ること、あなた方のもっとも得意とするところだ。
第二は悲観すること。これも頼まれなくても、しょっちゅうやっている。
第三はやたらと理由なく恐れること。
第四は憎むこと。みんなお得意とすることばかりだろう。
第五は恨むこと…。

こちらは、宇野千代さん著「中村天風述『中村天風の生きる手本』」からの引用ですが、「怒り」が起点にあると何でも誤った結果を招きそうな気がします。明るく朗らかに生きたいですね。

「世界で最初の音は神様の息でしょう?」。

と語ったのは、ポルトガルのピアニストMaria Joao Pires です。NHK「スーパーピアノレッスン」で生徒に向かって、彼女が考える「音楽の本質」を説明するのに使った言葉ですが、「はじめに言葉ありき」と響きあうような表現です。僕は「音楽の大きな潮流」を形容しているな…とも感じます。全て音楽は「息」に集約される?

「音楽って空気なんだよ」。

これは武満徹さん。先の「息」に通じますね。

僭越ながら今の私自身は「音楽は空気の振動です」と、訊かれれば答えるようにしています。空気は形がありません。ですから実体のない「魂」を揺さぶることができ人々に感動をもたらすのだろうと思います。

スピリチュアルな話しが多くなりました。笑

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

2011年(平成23年)新年を迎えて

Hidekiyo.F.Metastasio

・・・・・

元旦は近所の神社へ初詣。2日目は皇居一般参賀。毎年大勢の人が並びます。待ち時間、空を見上げたら澄んだ綺麗な青色で思わず撮影。その後、和田倉噴水公園レストランでレーズン入りライ麦パンのパストラミサンドを食べる。これがとても美味!オススメです。このレストランはKレコード敏腕プロデューサーM氏が素敵な披露宴をされたな。あの鐘の音!名演だったな。3日は恵比寿に住む伯父伯母宅へ年始の挨拶。87歳の伯父は「重要無形文化財保持者」(いわゆる「人間国宝」)になってもおかしくないほど、ある分野の伝統技能保持者なのですが、諸事情あり推薦?認定?されにくい状況だそうです。誠心誠意仕事に打ち込んできた尊敬する伯父と談笑。伯母が作った御節料理の「煮しめ豆腐」。毎年本当に旨い。

年末年始の音楽、コンサート等はリアル、ヴァーチャル含めて適宜書いていきます。

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