2011年3月13日日曜日

生きるということ

あまりにも、あまりにもひどい災害で、半端なお見舞いの言葉を書くことができません。
それから、私が今まで直視してこなかった原発が、大きな大きな問題になっています。

私個人は、災害に直結する情報こそ、最優先にエネルギーが使われるべきだと思い、
計画停電に微力ながらも貢献すべく、暫くの間は、当ブログの更新を控えます。

少しでも少しでも命が救われますよう。




P.S.
大きく揺れました。
本を詰め込んだ書架も倒れましたが、
それだけで済みました。

2011年3月10日木曜日

辻井伸行、音楽の殿堂NYのカーネギーホールでのリサイタルが決定!

CHOPIN - NOBUYUKI TSUJII
AVCL-25489

 2009年6月、第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人として初の優勝を飾って以来、世界を舞台に活躍している辻井伸行が、遂に音楽の殿堂カーネギーホールでリサイタルを開くことが決定しました! ニューヨークでの本格的なリサイタル・デビューとなります。
 
 リサイタルは今年11月10日夜。カーネギーホールが主催する“Keyboard Virtuosos2(鍵盤の達人2”というシリーズで、
(以下詳細はここ)。

引用元:http://www.cdjournal.com/main/news/tsujii-nobuyuki/37226



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紀尾井ホールで開かれたavex さんのコンベンションで、辻井さんをきいたときは、より大きなホールで持ち味や真価を発揮するタイプかな? と思いました。私には小さく綺麗にまとまるタイプじゃないな、とも感じた。

そういう意味で、NYカーネギーでのリサイタルは、合っているかもしれないです。
現地での聞き手の反応、批評…「ものすごく色んな意味合いで」、注目したいです。

ともかく、成功を祈ります。

ヘルベルト・フォン・ホッホマイスター殿

諸々資料を送付いたしました。


気をつけて帰国くださいませ。

新井・クラウディオ

(代筆、管理人)

2011年3月8日火曜日

架空書評1号、2号、3合…

今年は毎日(何が何でも)少しずつでもブログを書いておこう、と思っておりましたが、ここ数日間更新できておりませんでした。すみません。と、一応言っておいた方が良いかは疑問ですが、何となく書いておきます。

実は、ここ数日、当事者のためだけの架空書評を書いておりました。

3本。いや、3種類というべきか。

1本目が2,000文字。
社会学っぽい視点(私はその専門でも何でもないですが)で書いたら、ちょうどうまい具合に勝手に論点がずれていき、それが妙な味わいが出て、個人的には面白いといえば面白いのですが、「イマイチ」という反応。。

2本目は長めの5,500文字。
こっちは、何て書いたっけな。汗
そうそう、ファンクラブ会報を主宰している人、という名目で書いてみました。
やたらと多い引用と無駄な知識や主義がとぐろを巻いた文で、途中で笑い疲れる感じですが、「おもしろかったですヨ!」とのこと。

3本目は縦書きの手紙形式。約2,100文字。
私としては面白く仕上がった感じ。だけど、反応は微妙。なんか怒ってらっしゃいますか? という感じ。笑
なので、今、補足文をお送りしたところです。

残すは音楽批評家風とメディアジャーナリスト風というか話題のハイパーメディア…風かな?

できるのか? 私。

2011年3月3日木曜日

深川洋一著『生命の暗号を聴く 名曲に隠されたタンパク質の音楽』(小学館)


深川洋一著『生命の暗号を聴く』(小学館)


2007年8月14日初版。著者の深川さんは『タンパク質の音楽』(筑摩書房)を1999年に出版しており、件の著作は2作目にあたります。前作及びこの著作は Dr.Joel Sternheimer (ジョエル・ステルンナイメール博士「素粒子論を専門とする理論物理学者」と本書では紹介)の「タンパク質と音楽」に関する研究がベースとなっています。


書評でも感想でもなく、私にとって気になった箇所を抜き出したメモ的な内容です。


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例えば体内でタンパク質が合成されるとき、アミノ酸、tRNA、リボソームという、スケールがそれぞれ異なる物質が含まれたシステムが関係する。スケーリング波動は、その三つのスケールを互いに結びつけているのである。

アミノ酸の発する信号は、アミノ酸ごとに振動数が異なっている。つまり別の見方をすれば、アミノ酸が一つつながるごとに、いろいろと違う高さの「音」が出ていることになる。(略)しかも各アミノ酸のピッチは、物理学の理論を用いて具体的に求めることもできる。もっとも「音」と表現したが、このミクロ世界の音楽は高音すぎて耳には聞こえないのだが…。(略)
不思議なことに、各アミノ酸が発する「音」は、同調現象(シンクロナイゼーション)を通じて十二平均律音階に一致するようになるため、中途半端なピッチの音はない。(略)

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『タンパク質の音楽』は単なる音楽ではなく「薬」であるということ。『タンパク質の音楽』は、人間が作曲した音楽とは違って特定の効果を生じさせる特殊な音楽であるため、使い方を間違えると副作用が生じる危険がある。だから利用にあたっては正しい知識が不可欠である。


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ひと言。

著者は、東京大学大学院理学系研究科修了。理性の成果である科学から感性が生み出す芸術まで、細分化された分野の枠を超えたトランスディシプリナーな視点で独立して研究、著述、講演を行う・・・著者紹介にありました。そのため本書は扱う話題が大変に幅広く(面白く)なかなかの「読み物」に仕立てています。一方で、それぞれの専門分野のお持ちの方が見れば「突っ込める部分」があるかもしれません。例えばピッチ(440Hz)の箇所などもそう。ですが「ルール」的概念を取り払ったところに何がしかの真実が存在しているかもしれないとも思いました。私は、442Hzで演奏しているのは「もしや毒成分を緩和する」感覚がそうさせたのかも、と勝手に科学的根拠なしに妄想していますが。それからリヒテルの事例や、あの事例やこの事例や…おっと広がってきそうなのでやめておきます。


メンタル系のコンテンツやコンピを制作される方は一読をお奨めします。
感覚的に制作したモノが増えているなぁ…と思いますので。

2011年3月1日火曜日

東京文化会館 開館50周年



1月にリリースされているニュースですが…、

「DNA」が宿るというか…、
アーティストたちの「息」が潜むというか…
所謂「昭和」を感じさせるだけではない「深さ」のようなものが、
東京文化会館にはありますよね。

「リッチ」さを感じさせる空間は他にたくさんあるけれど、
文化はみんなのモノなんですよ、が否応なくわかる稀有な空間。

黛敏郎さんのオペラ『古事記』、日本初演を行う予定とのこと。
これも注目。

「らしさ」を感じさす記念事業だと感じました。


P.S.
金魚坂でお会いしたVn さんは頑張ってらっしゃるかな?

2011年2月28日月曜日

「燃える炭火に照らされた夕べ」



Claude Debussy - «Les soirs illuminés par l'ardeur du charbon»
ドビュッシー:燃える炭火に照らされた夕べ



今日は寒い日ですね。
雨と雪が冷たく顔に当たって…ね。
ご自愛くださいませ。


・・・

(略)…この作品を書いているときも、ドビュッシーは癌の病苦が激しいため、ほとんど創作活動ができなかったのです。そういった中で石炭を世話してくれた商人に頼まれてこの作品を書くことになったそうです。私はこの作品の自筆譜のファクシミリを持っていませんが、ドビュッシーの自筆譜は線が細く、繊細で淡い感じで書かれ、その筆跡がすでに音楽と一体化して、一種の絵画的なものになっています。この作品の自筆譜は2001年にアメリカで発見されたばかりで、出版もDurand社から2003年に出たばかりなので…(詳細は引用元へ)


引用元:http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/2007/08/03_4338.html
金子一郎氏の素敵な演奏もぜひ:http://www.youtube.com/watch?v=xWeAd4g29QU


(以上、ドビュッシーメモ)

2011年2月27日日曜日

Ravel plays Ravel Pavane pour une Infante Defunte



本日はこのような気分です。

それではごきげんよう。


P.S.
ラヴェルの演奏からは色んな発見があるな。

2011年2月26日土曜日

2011年2月25日金曜日

ニュージーランド交響楽団首席コントラバス奏者、池松宏氏の合宿

このたびのニュージーランドの震災で被災に遭われた皆さま、ご家族や関係者の皆さま、心からお見舞い申し上げます。





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さて、チェロの山本裕康さんのブログに「かぁーっと」熱くなる素敵な記事がありました。
リンクを貼りますので、よろしければご覧になってください。
こんなレッスンができる音楽家は本当に素晴らしいです。

http://d.hatena.ne.jp/mp-yamamotohiroyasu/20110225

2011年2月24日木曜日

ゲラ読み中

ここ数日間集中して取り組んでおります。

何を?

力作労作のゲラ刷りを私目が拝読。

音楽好きなら誰もが知る歴史的アーティスト。

現代における「アーティスト」の概念は、

このアーティストが創ったのではないか?

という人の衝撃の事実がここに…

2011年2月22日火曜日

人気アーティストたちが先生になる『音楽のじかん』が開講


詳細はここ
 ちょっと変わった新感覚の音楽イベントが赤坂BLITZでスタートすることが発表された。人気アーティストたちが先生になるという『音楽のじかん』なるイベントだ。

アーティストが音楽の先生になって熱血指導するというこの『音楽のじかん』、赤阪BLITZで全席指定の着席公演というプレミアムなイベントとなる。子どもから大人まで、音楽が好きな人もそうでない人も楽しめそうな『音楽のじかん』は、もちろん日ごろライブで見せる表情とは違う、新たな一面を発見するであろう内容で、先生となった各アーティストがそれぞれが選んだテーマにそって『音楽の授業』を繰り広げてくれる。
知っているようで知らない音楽の魔力が、きっとたくさん解き明かされることになりそうだ。ご注目を。
 『音楽のじかん』
3/19(土)19時開演(1)川平慈英&服部隆之(2)後日発表
3/20(日)15時開演(1)川平慈英&服部隆之(2)キマグレン
3/20(日)19時開演(1)キマグレン (2)後日発表
3/21(月・祝)15時開演(1)スキマスイッチ(2)植村花菜
3/21(月・祝)19時開演(1)スキマスイッチ(2)植村花菜
※1公演が2コマになります
※当公演は企画イベントのため、通常の各アーティストライブとは異なります
チケット 5000 円(全席指定/税込)
一般発売 3/5(土) プレオーダー 2/25(金)~3/1(火)


引用元:http://www.barks.jp/news/?id=1000067837&ref=rss


・・・・

この手の内容は今後要注目だと思っております。
音楽のナレッジが蓄積されてきて、語られること自体がイヴェントの目的となる。

個人的に興味を持ったイヴェントの紹介でした。

2011年2月21日月曜日

ゲルギエフの食事

Valery Gergiev
ヴァレリー・ゲルギエフ
1953-
引用元:Wikipedia



うな丼
エビフライ定食
お味噌汁…



伊熊先生のブログ。
興味深いお話しが多いです。
ぜひご覧を~

http://blog.yoshikoikuma.jp/?eid=142117


2011年2月20日日曜日

USTREAM活用方法一考 その2 今日は何の日?



ある日、私の携帯が鳴った。

S先輩からである。

「おい、今からさぁUSTREAMで生中継するから…必ず見てくれよ」。

生中継の内容は既にニュース配信されていた。

・・・

バリトン歌手、松平敬氏の多重録音による、ワンマン・アカペラCD『モノ=ポリ』(関連ニュース)(ENZOレコーディングスより2月20日より発売)の、完成記念座談会が2月20日と21日に行われ、その様子がUSTREAMで生中継される。松平氏本人、プロデューサー&エンジニアである嶋田亮氏のふたりが今回の座談会のパネラー。ゲストパネラーとして20日は若手音楽ライターの長井新之助氏、21日は音楽ライター鈴木淳史氏を迎えて今回のアルバム制作の話題が展開される。

詳細・引用元:http://www.phileweb.com/news/audio/201002/19/9731.html

・・・

実はこれは昨年の2月20日の話である。

このアルバムは見事、文化庁芸術祭優秀賞受賞した。

「いつも進んでますね」とS先輩にいうと、

「海外の三周遅れを拝んでいるのが日本市場なんだよ」

と返事がきた。

業界には色んな人がいるが、

「型破り」という点では私の最も尊敬する人である。

2011年2月19日土曜日

創業70周年記念の集い

某月某日某所

創業70周年を迎えた出版社さんのおめでたい席にいた私。

宴お開き後A先生と早速打ち合わせ。
その後、場所を変えて装丁の間村さんらと合流。

ナオコーラさんが私の隣に。
とてもモノ静かな人。
そのお隣に短歌の東さん小説と写真の大竹さん。
つかずはなれず仲良しな感じ。

モノ書きの人ってマイペースで良いなと思った。
文章で表現する人なので喋る必要がないのかな?
音楽と違って合奏という行為がないから、
「静かなる自分の世界」がある風で良いナ。

それにしても、

間村さんは優しい。
ガハハハ~と笑ってね。
批評臭いことは一切言わない。
これ、けっこう大切なことなんです。

2011年2月18日金曜日

【ご案内】Trio-L'etoile "primier concert"

なかなか良く考えて、頑張っているなぁと思ったのでご案内です。
近くにお住まいの方、ホルン吹きの方、秘曲実演主義の方応援を!






2011年03月02日(水)  19:00開演  杉並公会堂 小ホール(東京都)
ヴァイオリン:長倉亜紗、ホルン:長竹英治、ピアノ:棟方真央


★Program★
G.Faure:Piano Trio d-moll op.120
G.フォーレ:ピアノ三重奏曲 ニ短調 作品120

D.Banks:Horn Trio
D.バンクス:ホルントリオ

J.Brahms:Horn Trio Es-Dur op.40
J.ブラームス:ホルン三重奏曲 変ホ長調 作品40

入場料:一般1,500円、学生1,000円

お問い合わせ:trio-letoile@mail.goo.ne.jp


以下出演者から

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三重奏といえば、ピアノ、ヴァイオリン、チェロを思い起こす方が多いかと思いますが、
温かい音色のホルンとの三重奏をぜひ聴いてみませんか?

ホルンも得意だったブラームスは、ホルントリオの為に崇高で壮大な曲を作曲しました。
それぞれの楽器が見事に調和し、現在一番有名なホルントリオの曲とされています。

その他にも、ピアノトリオとして有名なフォーレのチェロ部分をホルン用に編曲しました。この曲を知っている方もまだ知らない方も、きっと楽しんで頂けると思います。

ドン・バンクスは現代の作曲家で、この作曲家もオリジナルでホルントリオの為に作曲しています。
楽譜は難解。それぞれ合わせるのも簡単ではない曲ですが、なぜか一度聴いたら癖になってしまうフレーズばかりです!

全てのプログラムがホルン、ヴァイオリン、ピアノによる曲です。
ホルントリオを愛する方の輪が、少しでも広がってくれることを願いつつ・・・

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決して高くない入場料だしできるだけお買い求めの上お聴き頂ければ幸いです。
若手演奏家の殆どの興行が出演者自ら負担して開催しておりますので…。
かつてはGGもそうでしたし。


以上、ご紹介でした。

2011年2月17日木曜日

振ると面食らうTシャツ



昨年200着限定であっと言う間に売り切れ。
Aさん、生誕125年の今年こそもっとやった方がいいじゃないですか?

「フルベンって誰?」という人が着たりするとけっこう面白いと思います。
もちろん熱狂的ファンが着用されても!


中部地方にお住まいのPさんどうですか?
ご覧になっているのかどうか・・・

2011年2月16日水曜日

一橋のガラガラヘビ




某月某日…。

A先生のお手伝いで一橋大学如水会館へ。講演名は「フランスのエスプリ~クープランとドビュッシー」。


「ガタガタのベヒがあるらしいのだけど」と先生。
「え?ガラガラヘビですか?」と私。


ベヒとはベヒシュタインのことでした。
ま、そんな冗談は置いて…そのベヒ、会場に行って、見て、聴いて、驚いた。

骨董のレース細工のように一つ一つに淡い上品な光沢を発する音色。聞けば1923年製だそうで戦前・戦後の一時期まで原智恵子女史や安川加壽子女史がたびたび演奏していたのだという。受付で手渡されたこのピアノにまつわるエピソードが印象的なので少し紹介する。


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(略)昭和19年(1944)10月、この兼松講堂において本学学生の出征学徒壮行会が行われた。2、3の教授の壮行会でピアノ演奏をしたのが、日本人ピアニストの草分けとしてショパンコンクール(1937)に初めて入賞した「特別聴衆賞」も得て、世界中から「東洋の奇跡」と称えられた国際的な名ピアニスト・原智恵子(1914-2001)だった。
 彼女は13歳でパリに渡り、ラザール・レヴィ、コルトー、ルービンシュタインなどに師事、コンセルヴァトワール(パリ音楽院)を首席で卒業しピアニストとしてのキャリアを着実に歩み始めたちょうどその矢先、戦争のために帰国を余儀なくされていた。
 帰国後は、最も著名な演奏家の一人として、戦時色濃厚な中、芸術を求めて止まない人々の期待に応えて演奏を重ね、表現の自由が極度に制限された中でも、芸術としての本来持つ自由な精神を決して失わなかった意志の人でもあった。
 実は、当初、彼女は出征壮行会なら出演しないと固辞したと伝えられている。ところが、当時日本に3台しかないといわれたドイツ製ベヒシュタインピアノがあると聞いて、まさかと驚き、「そのピアノを弾かせていただくために…」ということで演奏が実現した。
 (略)そして演奏が終わると自ら進んで演壇に立ち挨拶した。
「本日は思いもよらぬ素晴らしい会にお招きいただき感激しております。ただいまは戦(いくさ)に向かう若者の情熱を讃えたショパンのポロネーズを演奏いたしました。行く日があれば必ず帰る日もあるはずです。ご凱旋のときにはぜひともまたお招きをいただきたい。みなさま、おすこやかに…」
 この美貌のピアニストは両手を前に固く結び、両眼からとめどもなく溢れ出る涙は頬を伝って流れ落ちていた。


引用元:兼松講堂のものがたり

・・・・・

私は、音楽を「あれがうまい」「これがうまい」だけで接しないように戒めているつもりだけれど、このような場面を綴った文章に出合うと「あぁ気をつけなきゃ」と改めて思う。今は本当に恵まれているのだ。恵まれていることは、もちろん「悪」ではないのだけれど。

ところで、本来講座用に用意されたピアノはYAMAHAさんのセミグランドだったようだ。こちらは準備万端調律もされてステージがあるとしたら、ちゃんとセンターにセッティングしてある。ところがA先生は、講堂の脇に無造作な感じで置かれている無調律のベヒシュタインにべったり。なかなか離れようとしない。

YAMAHAさんのは物理学的根拠を基に計算しつくされたボディーと発声で、音色も音量もそれなりで決して悪くはない。それはこの日聴いても同じ。クルマでいえば最新オートマ車を運転するように滑らか。一方ベヒシュタインは手触り楽しい骨董の感覚。スペック上では劣るクルマかもしれぬが、転がして楽しいのは断然こっち…と聴いていて思った。

音楽を用いた講義であったが、私はベヒを使ったFrançois Couperin (大クープラン)の「百合の花開く」が最も気にいった。

百合の高貴な花の匂いを感じさせる音色で…

2011年2月15日火曜日

一柳慧さんが語る「千年の響き」。 2/2


一柳さんと縁深いJohn Cage(ケージ)の作品
P.Zukofskyとのコラボレーションで創作

(続き)

一柳さんの話には共感することが多かった。

一柳慧さんといえば、個人的には、ヴァイオリニスト、Paul Zukofsky(P.ズーコフスキー)氏と仕事をされていたときに「聴き手の一人」として接し始めた記憶がある。人によってはオノ・ヨーコさんの元夫でご存知かもしれないが。

お話を聞いて私がうなったのは3つある。

1)(未来、前に進むために)日本音楽の原点に復帰する。

2)東洋の音楽にも西洋の音楽に決して劣らないコンセプト(≒哲学、考え方、論理)が実は存在するのだが、そこにまで踏み込んでいないことが多い。技術的な問題については解決しているのだが。

3)余り(西洋と東洋の)「融合」を考える必要はないと思う。元々のコンセプトはひとつだから。

上記は、何人かの質問者からの問いに答える形で引き出された。ひとつ目の発言にはなるほどと思い、二つ目の発言には勉強になった(そういえば全く同じことを東儀秀樹さんも仰っていたな)、三つ目の発言には強く共感を覚えた。

他に「絶対音感はほとんど通用しなくなってきているのではないか?」にも同感。私は20年くらい前から秘かに「絶対相対音感」と感覚的に名づけて自分なりの理解を持っている。いきなり論理が飛躍するが、音楽は、だから、合っているとか合っていないとか、たったそれだけの「軸」で聴くことのできない文化なのである。

ときどき「音楽の方向性や路線が違う」とか「違うアプローチで云々…」という…私には「怒りを越して悲しい」類の…言葉に出くわす。

私はクラシックを聴く、と同時にヒップホップの音楽にも興味がある。それは現代では避けて通れない文化だからだ。また歌謡曲(J-POPといっても良いけれど)には、源氏物語と時間を超えた共時性を感じるし、ドビュッシーやヴェーベルンからは古い壁をぶち破ろうという狂気な熱が聴こえる。平均律も純正律もWindowsとMACに似て同じく扱うし、つまり音楽をひとつの大きな河か海と思っている。流れは同じで還るところは全て同じ。つまり違わない。一緒。

2011年2月14日月曜日

甘竹簫・排簫に聴く「千年の響き」。 1/2


「阿弥陀二十五菩薩来迎図(「早来迎」)」から
排簫を手にしている菩薩のみをアップした動画



正倉院にある楽器、排簫(はいしょう)※ の響きや可能性を確かめに予定を急遽変えて神奈川県民ホールへ。お目当ての排簫は残念ながらスライドでの説明のみだったが、代わりに箜篌(くご)と、笙(しょう)、竽(う)、馬王堆の竽(まおうたいのう)の実演があった。一柳慧さん作曲「時の佇まいⅡ」を佐々木冬彦さんの箜篌、「時の佇まいⅠ」を馬王堆の竽でそれぞれ聴いた。

演奏方法が不明確のまま、手探りと論理的思考と直感を静かに総動員して音楽で表現することの面白さが伝わってきたが、この日は会議室での演奏。響く空間で供される日(2011.3.5)が楽しみである。

また、方響(ほうきょう)や編鐘(へんしょう)といった「旋律打楽器」を間近に見ることができた。実に懐かしい色んなものが混ざった明るい響きであった。

とにかく得がたい経験である。


※手元にある米田雄介・杉本一樹著『正倉院美術館』(講談社)によれば「排簫(はいしょう)」ではなく「甘竹簫(かんちくのしょう)」という楽器名のみとなっていた。

(続く)


参考URL
http://hibiki.shinnyo-en.or.jp/
http://www.kanagawa-kenminhall.com/event/event-41119.html


阿弥陀二十五菩薩来迎図(「早来迎」)
知恩院(国宝)
引用元:Wikipedia

排簫を手にしている菩薩がわかりますか?