2011年2月12日土曜日

【突破する力】村松崇継さん Departure3



新しくなった銀座・YAMAHAさんでイヴェントを終えた村松さんは、少しの間も入れずに新型クラヴィノーヴァ収録の打ち合わせに入った。その次は、手がけているミュージカルを観に行く予定があるという。だが、指定時間までギリギリ間に合うかどうか…。急遽、クルマを使わずに銀座から北千住まで地下鉄で移動することになった。車内は帰宅時の乗客でいっぱいだったが辛うじて座れる空間があった。

車内でも周囲に気遣う物腰の柔らかな村松さんがそこにいた。どうでも良いような私の靴を褒めてくれるはいつものこと。私も、その方法を真似して他の人に靴褒めをやったが「コレ2足8,000円の安モンですヨ」なんて返ってきて、これ以上話しが進まないこともあった…汗。そんなくだらない話しはおいておき、この日は顔色が少し違っていたことを覚えている。寝る間も惜しんで仕事に勤しむ大変な状況や環境を伺った。それは深刻な感じだった。

目的の駅に着くと作曲家は劇場へ向けて走リ出した。

間に合うのか?

階段を駆け上がり劇場の扉へ。

間に合った!

ここまでやって…こんなにやって…

ちょっと泣けそうにもなったが、実際には、

ここまでできて!こんなにできて!…ではないか?と思う。

というのも、某日某所、ある大御所歌手のコンサートに行ったときのこと。予期せぬことに村松さんの音楽が歌われたのだが、私の隣に座っていた藝大作曲科出身の人が身を乗り出して注意深く聴き始めたのだ。それまで気持ち良さげにウトウトしていたのに。確か「いいなーこれ!」と言ったと思う。何気ないメロディーの中から聴こえる微妙な音程の動きや、シンプルで優しげなハーモニーに潜む複雑さを専門家の耳で感じ取っていた。こんな風景に出合うと大変嬉しい。

それからもうひとつ。

音楽は「聴いてみたい」という感覚も大切だし、創作者の「聴かせたい」「聴いて欲しい」も重要だけれど、「演奏してみたい」「歌ってみたい」という関わり方がその人の人生を支え、豊かにし、幸せにする。村松さんの音楽が「耳コピ」で動画サイトにアップされる数と、おびただしいアクセス数を見ると、ああ、音楽を通して人を幸せにしているのだな、と思う。

コンポーザーピアニスト、村松崇継さんには天が与えた才能があると私は信じている。

ますます大きく飛翔されますよう。

(完)

引用元:http://globe.asahi.com/breakthrough/110110/01_01.html








「2年前に事務所をやめた…」の箇所を読んで、改めてインタビューという行為は難しいなと思った。2年前は「前の前の事務所」のことではないかと思う。"Departure"を含むアルバムがリリースされたのは「前の事務所時代」だったのはファンならご存知と思う。もちろん現在の所属先事務所は大変素晴らしいところで、これまでにないメガ級ヒットが出ることを私は応援しています。

2 件のコメント:

  1. 私の友人、ふたりの子どもにピアノを習わせておいて
    自分はクラシックや、クロスオーバーになじみがなかったのですが…

    村松さんの曲は好きなんですよ、特にソロが♪
    その彼女の口から「王子のアルバムまだなの~?」と。

    信じられない言葉…いや、そこが村松マジック!!!

    村松さんの曲をきくことで
    せわしい日常が、幸福感に変わる。
    音を楽しむ気持ちの余裕があったのか、と思わせてしまうのも村松マジック♪

    常にご努力される王子ご自身も、成果でマジックを感じる瞬間があるのでしょう。

    普段の村松さんのお姿を交えながらの
    ヒデキヨさんの村松さん特集、とてもよかったです。
    またの特集を心より楽しみにしております^^
    (と、プレッシャーをかけてみる(笑))
    私も(ピカちゃん、おみゃあさんはもういいから~、と言われても…)応援頑張ります(^o^)/

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  2. 優れた音楽家は皆「降りてくる」瞬間があります
    ただこれは容易には起きないことです
    選ばれし者のみが感じる境地

    村松さんはその境地を その天才性から
    創造再現できる 少ない御方です

    「おみゃあさん」って言うんですね やっぱ

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